減給の制裁はできるのか
2019/03/01
会社は、健康保険の被保険者証の更新時期になったため、
会社の掲示板にて回収の旨、社内の従業員に通知しました。
提出期限になっても提出しない従業員がおり、再度、期限を延長した
お知らせを掲示しましたが、その告知にも気づかず、数人の従業員の
健康保険証の回収ができませんでした。
さらに期限を延長しましたが、Aさんは有給休暇を取得していたため、
健康保険証は提出されませんでした。
Aさんは有給休暇を取得後、延長された提出期限日に出社したところ、
上司から被保険者証の提出を求められましたが、
有給休暇を取得していたため、回収することを知らなかったと釈明しました。
しかし翌日、会社から
「減給制裁の処分を科す。併せて、始末書も出すように」と告げられたのです。
あまりに過酷な処分だと思ったAさんは都道府県労働局の助言・相談を
受けることにしました。
Aさんは、唐突な懲戒通告で、申し開きの機会すら与えられませんでした。
本社の決済も受けておらず、公平さを欠く処分と主張、撤回を求めました。
事業所長は、2回も告知して被保険証の提出を促したのに、掲示板を見て
いないと開き直り、反省もしていない。本社に伺いを立てるまでもなく、
就業規則で定める故意に業務の遂行を妨げ、業務上の指揮命令に違反する
行為であり、懲戒は当然の処分といいます。
たしかに提出書類を期限内に提出しないと懲戒処分と記載された
就業規則ありますね。
減給という重い処分を科すには、過去の処分例に
照らして、量刑が適当か慎重な判断が求められます。
制裁にも、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると
認められない場合は、権利を濫用したものとして無効になります。
今回は、会社側に対して再考が促されました。