同一労働同一賃金じわりっ一歩
2017/09/01
今年3月、こんな裁判ありました。
東京メトロの売店で働くパート労働者が、
社員とは同一業務に従事しているにもかかわらず賃金など労働条件に格差が
あるのは、労働契約法第20条に違反している。
賃金の差額を請求すると訴えたメトロコマーズ事件です。東京地裁H29.3.23
裁判所は、
正社員の売店での業務は一部であり、
契約社員が従事している業務内容及び業務に対する責任の度合い
配置転換の有無など、職務や業務に対する結果責任には大きな相違があるため
住宅手当や基本給など賃金の相違は不合理とはいえないとしました。
(ただし早出残業の割増率の違いについては違反。)
労働者としては相違のある個々の労働条件が、
期間の定めを理由とする不合理なものであることを示すことができなかった
わけですね。(労働契約法第20条違反ではない。)
裁判もいくつか始まり、政府のガイドラインの影響もあるのかもしれませんが、
厚生労働省の労働政策審議会は6月9日、同一賃金同一労働」に関する法整備
について検討してきた結論を報告書にまとめました。
待遇差が不合理と認められるか否かの判断は、個々の待遇ごとに、
その性質・目的に対応する考慮要素で判断されるべき点を明確化し、
「待遇の性質・目的」は実態を踏まえて判断されるものと考えられることに留意が
必要としました。
また、考慮要素として内容を明記すべき事項として、新たに職務の成果・
能力・経験を明記すること。
現行法においては短時間労働者についてのみ規定されている均等待遇規定を、
フルタイムの有期契約労働者についても対象とすべきとしています。
さらに、短時間労働者・有期契約労働者、派遣労働者に対しても、
労働条件や待遇についての説明義務を厳格化するとともに、労働者が事業主に対し
説明を求めたことを理由とする不利益取扱いを禁止することが適当としています。
今後、判例が増えてくれば重要な論点がより明確になっていくのだと思いますが
労働者が不合理性を指示することは難しくなるのではないか、、という懸念もありますね。
どのように整備されていくのか気になります。