複数事業労働者に対する労災保険
2020/10/01
多様な働き方を選択し、副業や兼業で仕事を掛け持ちしながら複数の事業場で 働く方が増えていますね。 これまでは複数の会社で働いていても働いているすべての事業所の賃金額を 基に保険給付が行われることはありませんでした。 そこで労災保険の保護を手厚くする 改正労災保険法が9月1日に施行されました。 すべての就業先の賃金額を合算して給付基礎日額を算定することになります。 また、脳・心臓疾患や精神障害に関しては、複数の就業先での業務上の負荷を 総合評価することにより、因果関係が認められれば労災認定することになります。 【複数業務要因災害といいます。】 例えば 田中さんは A社 月給30万円 B社 月給15万円 2社で就業している労働者です。 【複数事業労働者といいます。】 田中さんの平均賃金(直近3か月の歴日数は90日とする)は、 A社 30万円×3か月÷90日=10,000円 B社 15万円×3か月÷90日=5,000円 A社での災害発生であれば、10,000円のみでしたが A社+B社 10,000円+5,000円=15,000円(給付基礎日額) 今回の改正によってすべての就業先の賃金額を基に算定されることになりました。 また、特別加入をしている方についても対象となります。 ①1つの会社と雇用契約関係にあって、その他の就業について特別加入している ような方 ②複数の就業について特別加入している方です。 例えば、 ①大工さんとして建設業の一人親方として特別加入をしていますが 空き時間を使って宅配の仕分け作業を配送センターで行っているようなケース。 ②大工さんとして建設業の一人親方として特別加入をし、空き時間は個人タクシー の運転手として運送業の一人親方の特別加入しているようなケースです。 どちらのケースでも給付基礎日額は合算されます。 副業・兼業の解禁により、労働者を取り巻く状況は常に変化しています。 複数事業労働者が安心して働くことができるよう環境が整備されることは いいことですね。