~意外と知らない基本ルール~
毎年の健康診断。
従業員の健康を守るためにも、会社としてしっかり取り組んでおきたいものですよね。
でも実は、小さな会社さんからよく聞かれるのが、
「健康診断の間って、労働時間になるんですか?」
「その時間もお給料って出すべきなんでしょうか?」
というご質問です。
確かに、診断にかかる時間は人それぞれ。
業務の合間に受けたり、遠方の医療機関へ出向いたりと、ケースもさまざまです。
では実際のところ、どう考えればいいのでしょうか?
■ 原則としては「ノーワーク・ノーペイ」だけれど…
健康診断のうち、一般的な「定期健康診断(安衛法66条1項)」については、
昭和47年の通達(基発602号)で、次のように示されています。
「事業者に実施義務があるが、業務遂行との関連で行われるものではないため、
受診に要した時間の賃金については、労使で協議して定めるべき。
ただし、支払うことが望ましい。」
つまり、法律で“必ず賃金を払うべき”とまでは決まっていないというのが基本の立場です。
■ でも、実際は「労働時間」として扱う会社が多い理由
ただ、実務の現場では
「会社が指定した日・時間に、会社の指示で医療機関に行く」という流れが一般的です。
このように、従業員の自由意思ではなく、
ある意味で“業務の一環として拘束されている”状況であれば、
「労働時間」として扱って賃金を支払う方が自然と考える会社が多くなっています。
とくに、診断場所が職場の近くだったり、診断時間が業務の一部に組み込まれているような場合は、
「働いていないけれど、拘束されている=労働時間に準ずる」と見なす判断もあります。
■ トラブル防止のカギは「明文化」です
このように、法律的にグレーな部分もあるからこそ、
会社として方針を決めておくことがとても大切です。
たとえば、就業規則や社内通知でこんなふうに定めておくと安心です。
- 健康診断の時間は労働時間として賃金を支給する
- 半日勤務扱いとする(受診後の勤務を免除する場合など)
- 往復移動時間は含まない/含む など
ルールをあらかじめ明確にしておけば、
「先輩のときは出たのに、今回は出ない」といった不公平感や誤解を防ぐことができます。
■ 健康診断は“会社の安心づくり”にもつながります
健康診断を受けてもらうのは、
従業員自身の体調管理のためでもあり、
会社として安心して働いてもらうための備えでもあります。
「時間がもったいないから受けない」「給料が出ないなら行きたくない」
そんな風に思われないようにするには、
“制度として整えておく”ことが、信頼をつくる第一歩になるかもしれません。
■ お困りの際はお気軽にご相談ください
当事務所では、小規模な事業所・店舗様向けに、
健康診断に関する賃金の取扱いや、就業規則への記載のアドバイスも行っています。