さくら社会保険労務士事務所公式ブログ【建設業】技能労働者のレベル別に最低年収を設定

【建設業】技能労働者のレベル別に最低年収を設定

2021/09/29

「会員39団体が「最賃」設定」労働新聞、令和3年9月27日。

 最低年収水準は、技能労働者の処遇改善を目的として加盟団体が個別に決定する。まずは経験年数などに応じた4段階のレベルを設定したうえ、将来的に見込める報酬額を示す。詳細な設定方法は各団体に委ね、業界の人材確保につなげるのが狙いだ。来年3月をめどに会員39団体(うち正会員34団体)の水準を公表するとしている。

 建設業界では、技能労働者の就業履歴を個別に登録・管理するCCUSの普及に向けた取組みが進む。経験年数(就業日数)や保有資格などに応じてレベル1~4の能力評価を行うもので、国交省では工事種別や職種別に基準を設けるため、事業者団体に広く協力を求めている。建専連の会員団体でも全国鉄筋工業協会が「鉄筋技能者」の能力評価基準を定めるなどしており、そのうちの一部ではレベル別の標準年収も設定済みだ。

 一方で独自に進める今回の取組みでは、標準ではなく、クリアすべき最低の年収をレベル別に示すこととした。各団体は併せて業界共通の標準請負単価を設定し、適正価格による請負契約を徹底する。たとえば鉄筋工事なら「1トン当たり〇〇円」などという目安をつくり、設計段階から最低年収以上の報酬が支払える代金を設定する。

 取組みの背景には、処遇改善の目的と並んでダンピング(過度の安値での請負契約)への懸念がある。建専連によればすでに四国地方で実例の報告を受けており、他地域への波及に警戒を強める。今夏には各地で開いた地方整備局との意見交換会で、各地区連合会からダンピング排除を要請した。約5万5000に上る会員事業者の業務は民間工事が圧倒的に多いことから、最低年収と標準請負単価により適正価格の確保をめざす。

 

 

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