さくら社会保険労務士事務所公式ブログ時間外労働の規制は強化されるでしょうか

時間外労働の規制は強化されるでしょうか

2016/11/01

社労士会の発行する月刊誌に青山学院大学教授塚原先生の長時間労働の是正
という記事を見つけました。物価も賃金も大きな変化はありませんが、
労働時間においても同じことがいえるようです。


日本の年間労働時間数はドイツで439時間、フランス354時間(実労働時間)も長く
欧州諸国と大きな隔たりがあります。(両国とも年間1300~1400時間)
特に日本のフルタイム労働者の労働時間は長く、1994年が2036時間 
2013年が2018時間で20年間ほとんど変化がありません。



同時に、長時間労働で働く労働者が多いことも問題で
週49時間以上働いている労働者の割合が、欧州諸国では、1割に対し
日本では2割となっています。
特に男性の割合が突出して高い(男性30%、女性9.7%)点も気になりますね。
欧州諸国の男性は、15%前後です。


平日1日あたり10時間以上働く者の割合は、1976年13.3%から1991年には
25.2%、2001年には35.2%にも増加しているのです。(労働時間の経済分析より)
フルタイム労働者の3人に1人が平日10時間以上働いています。


週休二日制の導入で休みが多くなった分、1日の労働時間が長くなった
ことが要因のひとつですが、これにより日々の睡眠時間が削られていることも
明らかになっています。



厚労省は今年9月に仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する
検討会を開催し、日本の現状を説明して意見交換が行われましたが
そもそも36協定を締結している事業者は55.2%。
締結していない事業者の中には、協定の中身を知らない(35.2%)、
失念していた(14%)。こんな状況なのです。



設定した限度時間を超えて協定する「特別条項付」の協定を締結している事業者
も40.5%あり、1ヶ月平均で77時間52分、1年間では650時間54分これでも
長いのですが、年間800時間を超える時間を定めたものの割合が15%
1000時間超で定めたものの割合は1.2%でした。



過労死の認定基準において、発症前2か月間ないし6か月間にわたって、
1ヶ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合には、
業務と発症との関連性は強いとされていますので、男性労働者に限らず、
是正が必要ということになりますね。


検討会の委員からは、労働時間管理が現場任せになっていることから、
「財務は会計士が監視しているように、労働条件についても監視できる第三者を
置くべきではないか」という意見も出されたようです。



2015年に通常国会に提出された改正労基法にはないのですが(現在、審議ストップ)
「ニッポン一億総活躍プラン」では
36協定の特別条項について、上限規制を置くことが想定されているようです。
電通の過労死問題も連日報道され、クローズアップされていますので、
今後こそ上限規制は設けられるのか注目です。

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