さくら社会保険労務士事務所公式ブログ使用者による障害者虐待

使用者による障害者虐待

2016/09/02

8月ラストの土日に、24時間テレビが放送されました。
障害者の実情をわかってないことに、はっとさせられます。
相模原で痛ましい事件が起こって以来、障害者に対して世間の関心も
少し高まったように感じるのですが、偏見や差別は相変わらず根深いものがあるようです。

厚労省は、平成27年度における使用者による障害者虐待の状況をまとめました。
通報・届出のあった事業所は、1325社。前年比35%の増加です。
対象となった1926人の障害者のうち、970人(前年比2倍)の虐待が確認されました。

身体的虐待73人・性的虐待10人・心理的虐待75人・経済的虐待855人
虐待をした事業主450人・上司48人・所属外上司2人
978件について都道府県労働局は、労基法関係法令に基づいて指導など対処を
図ったとしています。

障害者の雇用については次のようなルールがあります。
従業員が一定数以上の規模であるの事業主は、
従業員に占める身体障害者・知的障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務です。
(障害者雇用促進法43条第1項)

民間企業の法定雇用率は2.0%で、従業員を50人以上雇用している企業は、
身体障害者又は知的障害者を1人以上雇用しなければなりません。

実雇用率の低い事業主に対しては、計画の適正実施勧告し、
最終的には企業名の公表と障害者雇用の推進を指導していますが
法定雇用率を満たすことと、彼らの就業環境を改善することは別問題ですね。

調査結果が増加傾向にあることもかなり深刻な問題ですが、
実は、氷山の一角で表に出ていないものがまだたくさんあるのではないか
と疑問もわいてきます。
わたしたちは社会に問題提起されていることに無関心になりがちですが、
近くで苦しんでいる人が増えている現状に関心を持つことが求められます。

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